[ランナー兼トレーナーが解説]マラソンで故障しない練習メニューとは?

[ランナー兼トレーナーが解説]マラソンで故障しない練習メニューとは?

マラソンは長時間走るため、練習を頑張らないといけないと思い込んで、ついつい頑張りすぎちゃいますよね。

でも、マラソン本番前の練習の段階で、故障しては元も子もないです。

そうならないために、

  • マラソンの練習の方法
  • マラソンの練習のメニュー
  • マラソンで故障しやすい部位の予防
  • マラソンの練習で故障した時の復帰までの方法

これらを絶対に知っておく必要があります。

  • 現在マラソン本番前の故障で悩んでいる人
  • 初めてのマラソンで完走のために頑張っている人
  • 目標達成のためにハードなトレーニングをしている人

今回の記事を頭に入れておくだけで、確実に故障の確率はグンッと減ります。

自分自身がマラソンを走った経験もあり、接骨院でたくさんの、マラソンランナーの故障と向き合って治療してきた私だからこそ伝えられる内容です。

1.マラソンの練習方法・メニュー[初心者向け]

マラソンの練習の方法・メニュー[初心者向け]

マラソン初心者の人向けの練習方法とメニューです。

  • マラソン初挑戦の人
  • マラソン経験はあるが年1回程度の人で定期的に走っていない人

マラソン初心者が気をつけることは故障しないこと

マラソン初心者の人は、自分がどれだけ走れるか分かっていないため、いける、いけるで無理しがちです。

マラソンをある程度、経験している人であれば、「これくらいの違和感で走るのをやめておこう」と判断できます。

しかし、初心者は「まだいける」と思いがちです。

ここが故障するかしないかの分かれ目でもあるので、何か体に違和感がでた時には走るのをやめましょう。

自宅まで距離がある場合は、歩いて帰ることです。

マラソン初心者の練習方法・メニュー

マラソン本番の6ヶ月前から練習を開始するという、具体的な仮定でいきます。

練習開始〜2ヶ月

  • 1日走ったら1日休む
  • 10km以上は走らない
  • スクワットなどの筋トレは余裕があればでかまわない

とにかく走ることになれる期間です。

10km走ることは苦しくない程度が目標です。

2ヶ月〜4ヶ月

  • 2日走ったら1日休む
  • 20kmを最長に設定して10kmを超える距離を週に1回走る
  • 10km以下のランニングの時に筋トレを行う

ここでは筋力をしっかりと向上していきます。

初心者の人は、走るだけでは、絶対にマラソン本番30km過ぎに筋力の限界がきます。

これは、私も初めて参加したフルマラソンで経験しました。

どれだけ走っているランナーでも、30km過ぎからは筋力の疲れをめちゃくちゃ感じてきます。

これは体内で発生する乳酸や、他の疲労物質がかなり影響してきます。

マラソンでの故障の原因となる疲労物質については、コチラをご覧ください。

» [注意!悪者ではない乳酸]マラソンやトレーニングで発生する乳酸

また、マラソンで効果的な筋トレについては、コチラをご覧ください。

» マラソンの自己ベストを更新するためには?[食事と筋トレが効果的]

4ヶ月〜6ヶ月(マラソン本番まで)

  • 2日走ったら1日ジョギング程度ゆっくり走る(リカバリーラン)
  • 2日のうち1日はインターバル走を行う
  • 週に1日は休みの日を作る(完全オフ)
  • 30kmを2回、少なくても1回走っておこう
  • インターバル走以外の日に筋トレは継続

ここからは、週に1〜2回インターバル走(スピードトレーニング)を行なっていきましょう。

目的は心肺機能の向上です。

ただ走るだけでは、心肺機能の向上には限界があるからです。

心肺機能の向上のメリット

  • 酸素をたくさん吸わなくても全身に酸素が回る
  • 酸素が回ると筋肉が疲労しにくい
  • 息が上がりにくい

インターバル走の方法

  • 400mを7〜8割程度でダッシュ
  • 200mをジョギング、きつければ歩く
  • これを10本〜15本を1セットで終了

インターバル走を始めた時はめちゃくちゃきついと思います。

きついと感じた人は、400mを300mにしたり、ジョギングを少し長くしたり、自分の体力に合わせて調整しましょう。

2.マラソンの練習方法・メニュー[中級者向け]

マラソンの練習の方法・メニュー[中級者向け]

マラソン中級者の人向けの練習方法とメニューです。

  • マラソン1回以上参加、週に1回でも定期的に走っている人
  • 半年以上走り続けている

マラソン中級者はオーバーワークの見極めが大事

マラソン中級者は、タイムの更新を目標にするあまり、「1年前の自分より多く走らないといけない」と思いがちです。

しかし、走れる時間の限界もあれば、走る距離に体がついてこれる限界もあります。

これを無視し続けると、オーバーワークで故障してしまいます。

また、体の違和感に慣れっこになっているので、違和感の頻度が高くなっていても気づきにくいです。

違和感がどれくらいのスパンで出てくるのかは、しっかりとチェックしておきましょう。

マラソン中級者の練習方法・メニュー

基本的には、インターバル走で心肺機能をガンガン高めていきましょう。

  • 400m・200mのインターバル走(その他バリエーション可)
  • 20km以上のロングラン
  • ビルドアップ走
  • 閾値走

これらのメニューは、メニューは違っても2日続けて行わないことです。

例えば、インターバル走の後に、ロングランを行うなど。

それぞれのメニューは、体への負荷が大きいため、続けて行うと故障の元です。

合間に10km程度のゆっくりジョギング(リカバリーラン)を入れたり、ランニングオフ日を入れましょう。

閾値走

乳酸が急上昇するポイントが存在します。

そのポイントまで行くと、その後、走り続けることが困難になります。

そのポイントの手前で走り続けること(閾値走)により、急上昇するポイントを遅らせることができます。

つまり、疲れず早く長く走れる、ということです。

そのためには、VDOTという自分の閾値のレベルを知ることが必要になります。

え?めんどくさそうですって?

現在はめちゃくちゃ便利なツールが出ています。

閾値走のための簡単VDOT計測ツール

閾値走のための簡単VDOT計測ツール1
  • 「Select Event Distance」を「Marathon」に変える
  • すぐ右側の数字を「42.195」に打ち変える
  • 「mi」を「km」に変える
  • 「Time」に自分のフルマラソンのベストを入力
  • 「Calculate」を押す

もし、フルマラソンを走ったことがないという人は、ハーフマラソン(21.0975)の記録や、10kmのタイムトライアルを行なった数字を、それぞれの項目を選択して入力してみてください。

閾値走のための簡単VDOT計測ツール2
  • 「Training」を押すと自分のそれぞれの距離の走れる目安ペースが算出
閾値走のための簡単VDOT計測ツール3

この「Threshold」の「1km」のタイムを参考にします。

私であれば、「5:13」ですね。

閾値走の方法

  • この参考タイムを維持して、一定の速さで20分ほど走り続ける
  • ペースの上下を出来るだけなくす
  • 天気の良い時に行う
  • 坂道や下り坂のない平らなところで行う
  • 20分の前後にはアップとダウンで、それぞれ2〜3kmほどジョグを行う

これの閾値走を行なっていれば、初めにも言ったように、自分の疲労がドッと出るポイントが遅くなり、体力が向上します。

そのため、月に1回くらいは、10kmのタイムトライアルを取り入れ、参考ペースの確認を行いましょう。

3.マラソンの練習で故障しないための予防

マラソンの練習で故障しないための予防

マラソンで多く故障する部位とは

  • 足裏
  • 太もも・ふくらはぎ
  • 足首
  • 股関節

膝は、マラソンの故障の中でも1番多い部位です。

  • 膝の外側が痛い、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
  • 膝の内側が痛い、鵞足炎(がそくえん)
  • 膝関節の軟骨損傷

これらは、私が接骨院でみてきた患者さんの中でも、かなり多い故障です。

足裏

  • 足の裏の足底腱膜炎
  • かかとの骨棘

太もも・ふくらはぎ

  • 肉離れ
  • ふくらはぎの内側が痛い、シンスプリント

足首

  • 捻挫による靭帯損傷
  • 扁平足による足関節の構造異常

股関節

  • 骨盤後傾による、股関節前面の痛み
  • 股関節前面から外側の大腿筋膜張筋と中殿筋の損傷

ほとんどが扁平足が原因

これら全てに共通して言えることは、「扁平足」が原因であることがほとんどです。

扁平足とは、土踏まずがなくなって、ベタ足になることです。

この状態で走っていると、膝が内側に入って、特に膝周りはほぼ100%故障します。

扁平足の改善が、マラソンの故障を防ぐ1番の方法です。

扁平足の改善方法については、コチラをご覧ください。

» 扁平足とトレーニングについて

マラソンで故障しないために

マラソンで故障しないために、走る距離や負荷を徐々に増やしていって、オーバーワークを防がないといけません。

その基準のために「10%ルール」というものがあります。

10%ルールとは、簡単に説明すると、1週間あたりの今週の走る距離を、最大でも前週の10%までにしましょう、というものです。

例えば、先週1週間totalで、50km走っていたとしましょう。

今週は、50×1.1=55km

今週は最大でも、55kmまでしか走ってはいけませんよ、というルールです。

この範囲内で、マラソンの練習で走る距離を調節することによって、故障のリスクを大きく減らすことができます。

4.マラソンでの故障中の練習

マラソンでの故障中の練習

マラソンの練習で故障しても、湿布や痛みどめで痛みを誤魔化して、練習を続ける人が多いです。

練習で痛みを我慢して、本番どうするんですか?

練習中の違和感の段階で病院へ

練習していて、痛みはなくても、同じところに違和感が何度も出たら、それは、もはや故障です。

実際に、接骨院でも、何ヶ月も片方の膝の痛みが出ていたけど、痛みが落ち着くまで休んで、痛みが消えたら、また練習を再開する男性がいました。

その男性は、結局、本番2週間前までそんな状態を繰り返して、やっと接骨院に来院されました。

正直、1〜2ヶ月放置された状態が2週間で完全に治ることは、かなり難しいです。

スーパードクターでも無理でしょう。

男性の膝は、痛みは軽減しましたが、テーピングを巻いて本番にのぞみ、自己ベストではないものの走りきることはできましたが。

故障は、単純な打撲などの怪我とは違い、根本的な原因が必ずあるので、それを改善しないといけません。

故障の根本的な原因を改善するには、放置された時間以上は確実に必要になります。

早めに病院などを受診するようにしてください。

故障中はウォーキングしてもいいのか?

故障中にウォーキングはやってもいいのか?

これは、実際に私が膝の故障で通院されていた男性に聞かれた質問です。

違和感があるなら休んでください。

1週間休んでも、体力は0になりません。

体力は練習すれば戻りますけど、故障は無理をすると、今後ずっと何かしらの違和感を残すかもしれません。

もちろん、完全でなくても、短い時間であれば、ウォーキングが可能なタイミングもあります。

ドクターの指示をしっかりと守るようにしましょう。

故障中は上半身の筋トレはやってOK

脚を故障して休養期間中は、脚の筋トレも行わないほうが良いです。

その分、上半身の筋トレを行いましょう。

この時にポイントがあります。

  • 高回数
  • 休憩時間は40秒ほど

この筋トレ方法により、体力の低下を少しでも抑えることができます。

マラソンランナーにとって、体力の低下を1番さけたいため、週に1〜2回はこの筋トレ方法を取り入れましょう。

5.マラソンでの故障明けの練習復帰

マラソンでの故障明けの練習復帰

故障している間は、原則ランニング禁止のため、体力低下、筋力低下がおきます。

マラソンでの故障明けの練習復帰には、ポイントがあるので、見ていきましょう。

故障中の休養期間と同じ期間をかけて完全復帰を目指す

故障しての休養期間が1週間程度では、大きく体力が落ちることはありません。

しかし、1ヶ月ほどで10%、2ヶ月で15%ほど体力は落ちます。

休養中の期間と同じ期間で、体力を元に戻していきます。

故障明けは故障前の50%の量を意識

練習再開のランニングは、上記でVDOTを調べた時の「Easy」のペースから走り始めます。

私も、腸脛靭帯炎になった時に1ヶ月ほど、まともに走っていませんでした。

走れるようになって、10kmを同じペースで走ろうとしていたところ、5km過ぎからまた、腸脛靭帯炎の違和感が再発しました。

私のように短期間で故障前と同じような練習を行うと、また故障する確率がグンッと高まるので注意してください。

  • Easyのペース
  • 最大でも故障前の50%の距離まで
  • 10%ルールではなく、5%ルールが安全

マラソン本番まで故障なく走り続けるために

自分のレベルに応じた、正しい練習方法・メニューで取り組むことが何より大切です。

その中で、スピード練習など、追い込む練習を続けていると、脚に違和感が出るときがあるとは思います。

脚に違和感が出たときは、早めに医療機関を受診すること。

また、故障した場合は、休養期間中は無理して走らず、上半身の筋トレに注力することで、体力の低下を最低限に抑えることもできます。

故障明けの復帰練習では、マラソン中級者以上でも、自分の体力、筋力を見誤ってオーバートレーニングになることが多いです。

休養期間と同じ期間で、体力、筋力を戻すことを意識して、再び故障しないように練習を行なっていきましょう。